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論文

Effects of potential on the electrical conductivity of a solution within a crevice of stainless steel in high-temperature water

相馬 康孝; 小松 篤史; 上野 文義

Corrosion, 78(6), p.503 - 515, 2022/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)

高温水中におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)を理解するためにはすき間部における溶液の性質を、電位(ECP)の関数として理解することが重要である。本研究ではSUS316Lステンレス鋼すき間内の溶液導電率($$sigma$$$$_{crev}$$)の測定を288$$^{circ}$$C、8MPa、主要なアニオンとして約10ppbのCl$$^{-}$$を含有する水中で行った。$$sigma$$$$_{crev}$$のその場測定は、すき間幅15$$mu$$mおよび奥行き23mmの直方体すき間において、異なるすき間深さ位置に設置した電気化学センサーにより実施した。ECPを-0.49V (vs. standard hydrogen electrode at 288$$^{circ}$$C, 8MPa)から-0.12Vに増加させたところ、$$sigma$$$$_{crev}$$は開口部から21mmの距離において12$$mu$$Scm$$^{-1}$$から160$$mu$$Scm$$^{-1}$$まで上昇した。$$sigma$$$$_{crev}$$の上昇は約0.15Vで最大値(約300$$mu$$Scm$$^{-1}$$)を示したのちは電位上昇と共に減少する傾向を示した。本現象は電気化学反応を考慮した有限要素法解析により定量的に再現することができた。すなわち、比較的低電位ではCl$$^{-}$$が主要なすき間内への電気泳動種となり、ECP上昇により$$sigma$$$$_{crev}$$は単調に増加し、同時にpHも低下すると考えらる。一方、ECPが0V近傍を超えると過不働態溶解によって発生したHCrO$$_{4}$$$$^{-}$$もすき間内へ十分な量が泳動する。本化学種はCl$$^{-}$$とは異なり酸化性が強いことから、金属カチオンと反応してそれを酸化沈殿させ、導電率を下げるものと推測された。

論文

高温水クレビス模擬環境におけるFe-Cr-Ni合金の電気化学的性質

相馬 康孝; 加藤 千明

材料と環境2022講演集(CD-ROM), p.219 - 220, 2022/05

沸騰水型軽水炉においてはステンレス鋼すき間内部に外界の不純物イオンが濃縮し、酸性化することから、そのような環境(クレビス環境)におけるステンレス鋼の電気化学的性質を知ることは重要である。本研究は、クレビス模擬環境をバルクスケールで再現し、Fe-Cr-Ni合金の電気化学的性質に及ぼすCr濃度の影響を主体に調査した。クレビス環境を模擬した、温度288$$^{circ}$$C、Cl濃度2$$times$$10$$^{-4}$$ mol/dm$$^{-3}$$、pH約4.5、溶存水素濃度10ppbの水中で、Fe-20Ni-xCr (x=16.4, 23, 26)の分極曲線を計測した。その結果、-400mVにおける活性溶解のピーク電流、および-50mVにおける不働態保持電流密度はCr濃度x=16.4, 23、および26%の試験片でそれぞれおおよそ13.8, 15.9, 10.0 $$mu$$Acm$$^{-2}$$、および18.4, 8.5, 8.5 $$mu$$Acm$$^{-2}$$であった。いずれもx=26の電流値が若干低いが、本環境では分極曲線に及ぼす明確なCr濃度依存性は見られないと判断された。

論文

高温高純度水中におけるステンレス鋼のすき間内溶液導電率のIn-situ分析

相馬 康孝; 小松 篤史; 上野 文義

材料と環境, 67(9), p.381 - 385, 2018/09

高温高圧高純度水中におけるステンレス鋼のすき間内で発生する局部腐食現象のメカニズムを解明するため、すき間内溶液の電気伝導率をIn-situ測定する手法(センサー)を開発し、すき間内環境と局部腐食との関係を分析した。センサーは、高純度アルミナで絶縁した直径約250$$mu$$mのステンレス鋼製電極をすき間形成材に埋め込み、電気化学インピーダンス法により、電極直下における局部的な溶液の電気伝導率、$$kappa$$$$_{crev}$$を取得するものである。SUS316Lステンレス鋼のテーパー付きすき間内に複数のセンサーを設置し、温度288$$^{circ}$$C、圧力8MPa、純酸素飽和した高純度水中において、$$kappa$$$$_{crev}$$の時間変化を100h計測した。すき間幅約59.3$$mu$$mの位置では$$kappa$$$$_{crev}$$は8-11$$mu$$S/cmであり、試験後に局部腐食は見られなかった。一方、すき間幅約4.4$$mu$$mの位置における$$kappa$$$$_{crev}$$は、実験開始直後から上昇を続け、約70hで最大値約1600$$mu$$S/cmを示し、試験後にこの位置近傍で粒界を起点とした局部腐食が発生したことを確認した。$$kappa$$$$_{crev}$$の最大値約1600$$mu$$S/cmは熱力学平衡計算によりpH約3-3.7に相当した。以上のことから、バルク水が高純度であってもすき間内においては溶液の酸性化が進行し、その結果、局部腐食が発生したと結論された。

論文

酸素飽和高温高純度水中におけるSUS316Lステンレス鋼すき間内の局部腐食

相馬 康孝; 上野 文義

材料と環境, 67(5), p.222 - 228, 2018/05

溶存酸素濃度約32ppm、温度288$$^{circ}$$Cの高純度水中に100h浸漬したSUS316Lステンレス鋼のすき間内における局部腐食現象を詳細に分析した。テーパーのついたすき間内において、すき間先端部側(すき間幅十数$$mu$$m以下)の領域において、粒界、および介在物を起点とした局部腐食が発生した。前者は、粒界に沿って発生し、粒内にも腐食が進行した。粒内では腐食がまだら状に進行し、腐食生成物であるFeCr$$_{2}$$O$$_{4}$$に相当する組成の酸化物と残存金属相が混在する組織を示した。後者は、CaとSを含む介在物を中心として円形に発生し、腐食生成物としてFeCr$$_{2}$$O$$_{4}$$に相当する組成の酸化物が生成した。これらの局部腐食現象はすき間先端側の酸素枯渇域に集中して発生し、より開口側に近い酸素到達域では発生しなかった。局部腐食発生域と非発生域の分布から、すき間内におけるアノードとカソードの分離が示唆された。

論文

Effect of dissolved gas on mechanical property of sheath material of mineral insulated cables under high temperature and pressure water

武内 伴照; 中野 寛子; 上原 聡明; 土谷 邦彦

Nuclear Materials and Energy (Internet), 9, p.451 - 454, 2016/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.71(Nuclear Science & Technology)

無機絶縁(MI)ケーブルは、耐熱性,絶縁性及び機械的強度に優れ、原子力用計測機器の計測線として使用されている。日本が提案する核融合炉ブランケットは高温高圧水で冷却する方式であるが、軽水炉及び核融合炉の運転時には、水の放射線分解により、溶存ガス量が変化し、シース材に影響を与えることが懸念されている。本研究は、シース材としてSUS304及びSUS316を選定し、高温高圧水中の溶存酸素,水素及び窒素量の変化による機械的特性への影響をSSRT試験により調べた。まず、PWRの高温高圧水環境下325$$^{circ}$$C$$times$$15MPaで溶存酸素量約6ppmの条件下において、ひずみ速度の影響を調べた。その結果、両鋼材ともに、ひずみ速度が遅いほうが引張強度が高かった。一方、溶存窒素量約20ppm程度の試験では、ひずみ速度が遅いほうが引張強度は低く、破断伸びが小さかった。破断面のSEM観察を行ったところ、試料表面部に脆性的破面が見られ、その表面深さは、ひずみ速度が遅いもの、すなわち高溶存窒素環境をより長時間経験した試料のほうが深かった。さらに、窒素に加えて溶存水素量を約50ppbにして行った試験では、窒素単独時よりもわずかに脆性破面率が高く、引張強度が低かった。以上から、高温高圧水環境において、溶存水素とともに、溶存窒素もステンレス鋼の機械的特性に影響を与えることが分かった。

論文

高温水中におけるバルク水溶存酸素濃度変化時のステンレス鋼すき間内電位および導電率の応答挙動

相馬 康孝; 加藤 千明; 上野 文義

腐食防食協会第63回材料と環境討論会講演集, p.253 - 256, 2016/10

軽水炉構造材である低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)内部においては、主き裂とは別に粒界および粒内腐食が観察される。このことから、高温高圧水中におけるステンレス鋼のすき間構造部においては外界よりも厳しい腐食環境が形成され、それがき裂の進展に寄与する可能性がある。われわれは前報において、SUS316Lステンレス鋼の人工すき間内に小型のセンサーを設置し、局部的溶液導電率$$kappa$$を調べたところ、すき間ギャップが十分小さい場合、$$kappa$$は外部環境(バルク水)より100倍以上の値を示すことが分かった。一方で、前報では溶存酸素濃度は純酸素飽和条件で一定としたため、すき間内環境の形成に及ぼす溶存酸素の影響は不明である。そこで本研究においては、バルク水の溶存酸素濃度を周期的に時間変化させ、その際のすき間内における導電率の応答挙動をIn-situ分析することで、すき間内環境に及ぼす溶存酸素の影響を考察した。その結果、バルク水を脱気状態から酸素飽和状態に変化させた場合、すき間内部の溶液導電率が最大で10倍以上となった。このことから、溶存酸素がすき間環境を形成する要因であると考えられた。

報告書

炉外高温高圧水ループ試験装置の性能試験(受託研究)

中野 寛子; 上原 聡明; 武内 伴照; 柴田 裕司; 中村 仁一; 松井 義典; 土谷 邦彦

JAEA-Technology 2015-049, 61 Pages, 2016/03

JAEA-Technology-2015-049.pdf:14.7MB

日本原子力研究開発機構では、原子力施設でシビアアクシデントが発生した際に、プラント状態を監視するため、過酷環境下でも高解像度で監視できる耐放射線性カメラ、炉内の情報を伝送するための無線伝送システムならびに計測線等の高度化に向けた要素技術の基盤整備を進めている。計測線の高度化開発の一環として、高温型MIケーブルの信頼性およびそれらを構成するシース材料の特性を調べるため、PWR及びBWR条件の炉内環境を模擬できる炉外高温高圧水ループ試験装置を整備した。本装置は、圧力容器(オートクレーブ)、水質調整タンク、送水ポンプ、高圧定量ポンプ、予熱器、熱交換器および純水精製装置などから構成されている。本報告書は、炉外高温高圧水ループ試験装置の製作にあたって構成する機器の基本設計及び当該装置を用いた性能試験結果についてまとめたものである。

論文

時間分解蛍光分光法によるアクチノイドの溶液化学研究における最近の進展

木村 貴海; 桐島 陽*; 有阪 真

希土類, (47), p.43 - 56, 2005/11

時間分解レーザー誘起蛍光分光法は、単に高感度かつ高選択的な分析手法としてだけでなく、イオンの溶液内構造や熱力学的特性をも測定可能な用途の広い方法として、今ではアクチノイド研究にとって重要な研究手段の一つとなっている。本講演では、アクチノイド(III)とランタノイド(III)の配位環境の比較,固液界面における微量化学種の状態解明,水熱溶液中でのウラン(VI)の加水分解・錯形成反応,水溶液中におけるウラン(IV)の初めての蛍光測定など、最近の進展を報告する。

論文

In-core ECP sensor designed for the IASCC experiments at JMTR

塚田 隆; 三輪 幸夫; 宇賀地 弘和; 松井 義典; 板橋 行夫; 永田 暢秋*; 堂崎 浩二*

Proceedings of International Conference on Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems (CD-ROM), 5 Pages, 2004/10

材料試験炉(JMTR)において照射誘起応力腐食割れ(IASCC)の発生及び進展試験を予備照射した試験片を用いて実施する計画がある。炉内においては、水の放射線分解により環境中に各種のラジカルや過酸化水素などが含まれるため、炉内環境の評価には腐食電位(ECP)が指標として用いられる。JMTR炉内に装荷する照射キャプセル内で使用するためのFe/Fe$$_{3}$$O$$_{4}$$型のECPセンサーを開発した。センサーの耐久性を調べるため、高温高圧純水中における熱サイクル試験などを実施した。本研究で開発した炉内測定用ECPセンサーには、高温水中での耐久性を向上させるため、セラミックス隔膜と金属ハウジングの接合部を無電解ニッケルメッキにより保護したが、その有効性が示された。

論文

Instrumental development for spectroscopic speciation of f-elements in hydrothermal solutions; Luminescence properties of lanthanide(III) ions

木村 貴海; 永石 隆二; 有阪 真*; 尾崎 卓郎; 吉田 善行

Radiochimica Acta, 90(9-11), p.715 - 719, 2002/11

 被引用回数:15 パーセンタイル:67.86(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

水熱溶液(高温高圧水溶液)は種々の地球環境において見いだすことができるが、水熱条件下でのf元素の実験的研究はきわめて少ない。水熱溶液中でf元素の分光学的状態分析を行うための光学セルを調製した。この光学セルは、常温常圧から723K及び40MPaまでの温度、圧力をそれぞれ制御できるため、発光及び吸収分光法と組み合わせて水熱条件下でのf元素の酸化還元,加水分解,錯形成などの分光学的研究が可能である。本装置を水熱溶液中のEu(III)に適用し、発光特性(発光スペクトル,発光寿命)の温度・圧力依存性を測定した。発光特性に圧力依存性は見いだされなかったが、約500Kを境に温度依存性が大きく変化した。(1)励起Eu(III)から配位水和水へのエネルギー移動,(2)Eu(III)の加水分解,(3)Eu(III)/Eu(II)平衡などの温度依存性からこの変化を考察した。

論文

IASCCの現状と動向

塚田 隆

日本溶接協会「原子力構造機器の材料,設計,施工,検査に関する講習会」テキスト, 40 Pages, 2002/00

原子炉の炉内構造材は、高温高圧水と中性子・$$gamma$$線照射という、他の工業プラントにはない特殊な環境で使用され、この環境の影響が材料に蓄積することにより、特有な経年劣化・損傷を生じる。炉内構造物の経年劣化事象としては、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)の検討が重要である。IASCCについては、炉内複合環境が材料へ及ぼす多様な影響を検討することが必要であり、1980年代中頃からの各国での研究により、現象論的な理解は進んでいる。しかし、劣化予測に必要な機構論的な理解は未だ十分ではない。本講演では、IASCCに関して現象論的,機構論的な観点から、現在の研究の状況,動向及び今後の課題などについて概観する。

論文

軽水炉構造材料の経年劣化; 炉内構造材と圧力容器鋼

塚田 隆; 海老根 典也

日本AEM学会誌, 9(2), p.171 - 177, 2001/06

経年劣化とは、各種機器・材料の時間に依存する劣化を意味し、それはプラント構造物の信頼性・安全性及び使用寿命を決定する主要因である。わが国でも既に運転開始後30年を越える軽水発電プラントが出てきており、軽水炉プラントの高経年化に伴う保全技術開発及びその基礎となる材料の経年劣化機構の研究が重視されている。軽水炉本体を構成する材料は、炉内構造材と圧力容器鋼に大別されるが、これらは高温高圧水と中性子・$$gamma$$線照射という、ほかの工業プラントにはない特殊な環境で使用される。軽水炉における材料の経年劣化は、主にこの特殊な環境の影響が材料に蓄積されることにより生じる。軽水炉の高経年化にかかわり考慮すべき経年劣化事象は、炉内構造物については疲労,応力腐食割れ,照射誘起応力腐食割れ,圧力容器については中性子照射脆化,疲労などであり、これらの現象の機構解明と対策技術の開発研究が進められている。さらに今後は、材料の経年劣化を損傷の発生前に検知すること、それに基づき損傷発生の予防策を講じることが重要となる。本報では、軽水炉の炉内構造材及び圧力容器鋼を対象とし、使用材料と環境、主要な劣化損傷現象について概観し、それらの電磁気的手法による非破壊評価の可能性にも触れる。

論文

Irradiation assisted stress corrosion cracking of austenitic stainless steels

塚田 隆

Proceedings of Seminar on Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems '99, p.26 - 32, 1999/00

照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は、近年軽水炉の炉内構造物の損傷要因として重要な検討課題とされている。IASCCと照射のかかわらない通常の応力腐食割れとの最も大きな違いは、IASCCでは照射により材料そのものが徐々に変質して行くこと、すなわち照射損傷の蓄積と照射誘起偏析が発生の第1原因と言える点にある。通常の応力腐食割れでは、応力腐食割れ感受性は材料が溶接入熱等を受けた時点で熱鋭敏化が生じ、その状態は長時間にわたり変化せず、水質などの外部条件がそろった時に応力腐食割れを発生する。しかし、IASCCでは、当初は全く健全な材料であり外部環境が一定であっても、中性子照射に伴い徐々にIASCC感受性を有するようになる。これを実機との関係において考えると、これまで配管等で経験されてきた応力腐食割れが溶接熱影響部等の限られた、そして現在では材料と環境の組み合わせに基づきかなりの程度まで予想し得る場所で発生するのに対して、IASCCはある程度以上の照射を受ける部位であれば水質と応力状態によっては予想外の場所で発生する可能性がある。すなわち、IASCCは軽水炉の高経年化に伴う現象であることとともに、未知の損傷を複合的に引き起こす要因になる可能性もあるという観点からの検討を要する。本論文では、オーステナイトステンレス鋼のIASCC研究の成果及び課題を概観する。

報告書

オーステナイトステンレス鋼の中性子照射誘起応力腐食割れに関する研究

塚田 隆

JAERI-Research 98-007, 187 Pages, 1998/03

JAERI-Research-98-007.pdf:17.46MB

炉内構造物の経年的な劣化・損傷機構の一つである、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)に関する研究を行った。IASCCは現用発電炉の損傷要因であるだけでなく、放射線と腐食の作用が共存する系の共通問題である。本研究では、IASCCの発生と材料及び環境条件の関係を明らかにし、その発生機構の検討を目的とした。このため、2種類の異なる供試材:(1)研究炉JRR-3M及び材料試験炉JMTRで照射したモデルステンレス鋼、(2)米国オークリッジ研究炉ORRでスペクトル調整照射したステンレス鋼、(3)高速実験炉「常陽」燃料集合体のラッパー管ステンレス鋼を用いて、高温水中応力腐食割れ試験及び電気化学腐食試験等を実施した。その結果、IASCCに及ぼす添加合金元素の効果、照射・照射後試験温度の効果、材料の焼鈍・冷間加工の効果等について詳しい知見を得た。さらに、炉内構造物のIASCCに対処する方策を考察した。

論文

Irradiation techniques under high pressurized water using hybrid type saturated temperature capsule in the JMTR

松井 義典; 新見 素二; 星屋 泰二; 塚田 隆; 辻 宏和

Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.378 - 382, 1998/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)

IASCCの問題は水冷却をともなう核融合炉の容器構造材においても重要な論議の一つである。このIASCC研究において、高圧水環境下での照射実験は欠くことのできない実験であると考えられる。JMTRではこのIASCC研究のために数年前に開発したSATCAPという高圧水中照射型の照射装置がある。最近、このSATCAPを核融合炉及び軽水炉のために、性能向上の目的で改良を施し、ハイブリッド型SATCAPを開発完了した。このハイブリッド型SATCAPはノーマル型SATCAPにヒータ制御及び真空制御を付け加えることで、より低$$gamma$$線発熱領域でも試料表面で核沸騰が起こせるようになった。今回、このハイブリッド型SATCAP照射条件は冷却材圧力が8.6MPaで飽和温度は573K、流量は8.3$$times$$10$$^{-6}$$m$$^{3}$$/sであった。この照射試験により、SATCAPは$$gamma$$線発熱率に関係なくJMTRの全照射領域で照射が可能になった。

論文

Effects of minor elements on IASCC of type 316 model stainless steels

塚田 隆; 三輪 幸夫; 中島 甫; 近藤 達男*

Proc. of 8th Int. Symp. on Environ. Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors, 2, p.795 - 802, 1997/00

照射有機応力腐食割れ(IASCC)に対する合金元素の影響を明らかにするため、高純度の316型ステンレス鋼をベースにし、そこへC、Si、P、S、Tiを添加したモデル合金を溶製した。これらの合金から作製した試験片をJRR-3にて、513Kで6.7$$times$$10$$^{24}$$n/m$$^{2}$$まで中性子照射し、その後ホットラボにて高温水中応力腐食割れ試験を実施した。また、同時に照射した透過電子顕微鏡試料を用いて、照射損傷組織のミクロ観察を行った。各合金の照射後の応力腐食割れ感受性の比較により、Moの添加はIASCC発生の抑制に大きな効果のあること、一方Sの添加は既に304型ステンレス鋼の試験でも明らかにしたようにIASCC感受性を高め有害であることが分かった。ミクロ組織観察の結果からは、転位ループの形成と成長はC及びSiの添加の影響を受けること、ミクロ組織と照射硬化挙動に良い対応のあること等が知られた。

論文

Stress corrosion cracking of model austenitic stainless steels irradiated in JRR-3M

塚田 隆; 三輪 幸夫; 新藤 雅美

Fourth Japan-China Symp. on Mater. for Advanced Energy Systems and Fission and Fusion Engineering '96, 0, p.223 - 227, 1996/00

照射腐食割れ(IASCC)に対する合金添加元素の効果を調べるため、高純度の304及び316型モデルステンレス鋼にSi、P、S、C及びTiを添加した合金をJRR-3Mにおいて照射した。照射後には、高温水中における応力腐食割れ感受性を調べるための低歪速度引張試験及びミクロ組織を調べるために透過電顕観察を行った。304型合金は高温水中で高いSCC感受性を示し、合金炭素濃度により粒内型及び粒界型の割れ形態となることが分かった。また、316型合金も両型のSCCを生じたSiの添加は照射後の機械的性質に大きな影響を与え、SまたはPの添加はIASCCの挙動に対し、それぞれ融体また低減の効果があることが知られた。Siの効果はミクロ損傷組織の観察結果とも整合性のあることを示した。

論文

Environmental degradation study on neutron irradiated stainless steels at JAERI

塚田 隆; 三輪 幸夫; 横山 憲夫; 辻 宏和; 中島 甫

Proc. of 2nd Japan-Central Europe Joint Workshop on Modelling of Materials and Combustion, 0, p.80 - 83, 1996/00

原研における炉内構造材ステンレス鋼の照射腐食割れ(IASCC)研究の状況を報告する。軽水炉の炉内構造材は、高温水中で中性子照射に曝されるため、通常の工業プラントでは生じない種々の劣化現象を示す。そのなかでも、IASCCは、最も複雑な現象のひとつであり、各国において軽水炉の寿命延長または高経年化との関連から研究が行われている。原研では1970年代初めから行っている高温水中の材料劣化研究を基に、1980年代末より照射効果が係わるIASCCの研究を開始した。この研究では、外部との共同研究により常陽やORRで照射されたステンレス鋼を入手し照射後試験を行うと共に、新たに溶製した実験合金をJRR-3で照射しそのSCC試験を実施してきた。ここでは、JRR-3照射材の試験結果を紹介し、また本研究に関連する材料データベースの活動についても述べる。

報告書

Statistical analyses of variability/reproducibility of environmentally assisted cyclic crack growth rate data utilizing JAERI Material Performance Database(JMPD)

辻 宏和; 横山 憲夫*; 中島 甫; 近藤 達男

JAERI-M 93-078, 42 Pages, 1993/05

JAERI-M-93-078.pdf:0.84MB

材料応用工学研究室で整備を進めている原子力材料総合データベース(JAERI Material Performance Database;JMPD)に格納されている原子炉圧力容器鋼の疲労き裂成長速度データの統計解析を行い、$$Delta$$K(応力拡大係数範囲)増加型の疲労き裂成長試験で得た速度データと$$Delta$$K一定型の疲労き裂成長試験で得た速度データのばらつき、再現性を比較した。その結果、データのばらつき、再現性といった観点からは、$$Delta$$K一定型の疲労き裂成長試験の方が好ましいこと、またその傾向は、大気中のデータよりも軽水炉一次冷却水近似環境中のデータにおいて、より顕著であることが分かった。

論文

Statistical analyses of variability/reproducibility of environmentally-assisted cyclic crack growth rate data relative to $$Delta$$K control modes

辻 宏和; 横山 憲夫; 中島 甫; 近藤 達男

Journal of Nuclear Materials, 202, p.79 - 86, 1993/00

 被引用回数:1 パーセンタイル:18.76(Materials Science, Multidisciplinary)

材料応用工学研究室で整備を進めている原子力材料総合データベースJMPDに格納されている原子炉圧力容器鋼の疲労き裂成長速度データの統計解析を行い、$$Delta$$K(応力拡大係数範囲)増加型の疲労き裂成長試験で得た速度データと$$Delta$$K一定型の疲労き裂成長試験で得た速度データのばらつき、再現性を比較した。その結果、データのばらつき、再現性といった観点からは、$$Delta$$K一定型の疲労き裂成長試験の方が好ましいこと、またその傾向は、大気中のデータよりも軽水炉一次冷却水近似環境中のデータにおいて、より顕著であることがわかった。

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